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ある日突然!! 生命にかかわる!!
40代からの気になる病気
脳卒中!
死因の第三位
脳の重さは体重の2%程度。しかし、全身の血液の13〜14%は脳に流れており、消費される酸素の量は取り込んだ量の20数%をも占めています。これは、ほかの臓器に比べ約2倍に当たります。このように、脳は大量の酸素を必要とするため、わずかの血液の不足でも障害を受けやすくなります。血管が詰まったり破れたりすると、末梢の脳細胞は酸素不足から壊死し、突然意識を失ったり、手足のマヒや言語障害などが現れます。これらの病気の総称が「脳卒中」です。
脳卒中は主に高血圧によって脳の細かい血管の弱い部分が破れて脳の中に出血する「脳出血」と、血の塊である血栓が血管に詰まって起きる「脳梗塞」の二つに大別できます。
「脳出血」は俗に脳いっ血とよばれ、血管が破れて脳内に血液があふれる「脳内出血」と、脳を包んでいるくも膜という薄い膜と、脳の隙間に出血が起きる「くも膜下出血」とに分けられます。ほとんどが血管の一部がこぶ状に膨らんだ脳動脈瘤の破裂が原因です。
これに対し「脳梗塞」は脳の血管が狭くなってそこに血栓が出来る「脳血栓」と、脳以外の部分でできた血栓や脂肪の塊が血液中に流れて血管が詰まる「脳塞栓」があります。
1994年に脳卒中で亡くなった人は約13万人。日本人の死因の13.7%を占め、『ガン』、『心臓病』に次いで第三位です。死亡者数、死亡率とも前年をわずかに上回りましたが、「四人に一人は脳卒中で亡くなっていた」1970年をピークに、全体的には減る傾向を示しています。年間の死亡者はこの20年で約6万人減少しました。
それにつれて脳卒中の中身も変わりました。8割り近くを占めていた脳出血は高血圧管理・治療の進歩によって激減し、いまでは脳梗塞が半数を占め、脳卒中の代名詞になりつつあります。
発作が軽くても、再発すれば命取りになりかねない脳卒中ですが、画像診断の進歩で軽いうちに見つけられ、予防的治療を行うことが再発の防止に大きく貢献しています。従来なら死亡していた患者を救えるようになったのです。
こんな症状を見逃すな!
脳卒中の大きな特徴は発作が突然起こること。このことは病気の始まりが何月何日ごろとはっきり確認できることを意味しています。反対に、始まりがはっきりせず、数ヶ月前から何となく手足の動きがおかしい、次第に症状が強まったなどの場合はほかの病気であることが多いようです。
また、脳の血管は一部を除き左右別々になっているため、血液の流れが悪くなっても、機能障害が起こる部分は脳の片側だけであることがほとんどです。脳卒中の症状である半身の運動障害(片マヒ)、感覚障害が多いのはこのためです。
くも膜下出血は脳の表面の血管が破れて出血するため、脳そのものは無傷のことがあり、手足のマヒは現れないこともあります。しかし、突然バットで後頭部を叩かれたような激しい頭痛に襲われ、多くは吐き気をともないます。重症の場合は同時に意識不明に陥り、そのまま死亡する人は約30%ともいわれています。3〜4日たって次第に治まる人もいますが、その後、繰り返すことが多く、そのつど重症になりやすいため致命率も高くなります。
脳内出血は脳の深部に出血するため、出血がひどい場合には即座に意識を失って死亡する例も多くあります。くも膜下出血も脳内出血も、こうした大発作が起こる一ヶ月以上前から、頭痛や顔痛、眼球の奥が痛む(眼球の裏側にある脳血管が詰まったり、腫れたりして眼を圧迫するため)といった似た前兆が現れます。
脳梗塞は脳出血のような痛みはありません。梗塞の起こった場所と範囲で症状はまちまちですが、突然あるいは徐々に、手足の片側にマヒが起きたり、ろれつが回らなくなったり、まっすぐにあるけなくなったりします。絵を見ても意味が分からなかったり(失認)、急に人の言葉が理解できなくなって、自分の話す内容も支離滅裂になったりすることもあります。
こうした脳梗塞は加齢とともに確実に増える病気です。命にかかわることは比較的少ないものの、半身のマヒや言語障害などの後遺症を残し、将来の痴ほうや寝たきりにつながります。脳卒中全体は減少していますが、高齢化の進展により脳梗塞にかかる人は増えていくと予想されています。
また、脳梗塞によく似た一時的な発作に「一過性脳虚血発作」(TIA)があります。血栓が末梢血管に一時的に詰まるだけなので症状は軽く、20〜30分から長くとも一日以内に消えてしまいます。放置すれば本格的な脳梗塞に移行する危険性があり、注意が必要です。
画像診断で早期発見
小さな梗塞や動脈瘤などの有無は、CT(コンピュータ断層撮影)や、MRI(磁気共鳴断層撮影)で調べます。その結果、梗塞が見つかり、血流の様子を調べる必要のある人にはMRA(磁気共鳴血管造影法)が行われます。こうして、これまで見つけられなかった小さな「脳動脈瘤」や、血管の狭さくをはじめ、手足のマヒなど自覚症状が現れない「無症候性脳梗塞」まで分かるようになりました。
無症候性脳梗塞は50代あたりから急激に増え始めます。放置すると本格的な脳梗塞に移行する危険性や、日本人に多い脳血管性痴呆症の原因の一つ、「多発性脳梗塞」も引き起こしかねません。症状が出ないため、自分が脳梗塞を起こしているとは思っていない人でも、脳ドックを受診すると、かなりの割合で無症候性脳梗塞が発見されています。
高血圧や高脂血症、糖尿病の有無など、脳卒中の発症に関係のある危険因子は健康診断である程度分かりますが、脳の疾患そのものを見つけることは出来ません。このため、脳卒中の前触れである病変を早期に見つけだし、予防への道を開く「脳ドック」が急速に普及し、受診する人が増えています。
こうした新しい診断技術によって、未然に治療する「予防的治療法」が、自覚症状のない人に対しても行えるようになりました。
薬を使った治療の基本は、最大の危険因子である「高血圧」を降圧剤でコントロールすること。また、脳梗塞の原因になる血栓をつくらないことも大切です。そのためには、血液が固まる作用を抑える抗血小板薬(アスピリンなど)や、血液循環をよくする薬などを用いて治療します。
一方、予防のために手術を行う場合もあります。発作を起こすと致命率が高い「くも膜下出血」は、破裂する前に動脈瘤を塞ぐ手術を行っておけば完治します。
「脳梗塞」は、薬による治療が中心ですが、動脈硬化が進んでいる場合など、血管の状態によっては自覚症状がなくても手術を勧められることもあります。血管の内腔を広げる手術や、バイパスをつくって血流をよくする外科的治療法で、発症を防ぎます。
万一、発作が起こってしまったら、一刻も早い治療とともに、早期のリハビリが重要です。
高齢者の寝たきりの原因のトップである脳卒中は、かつて「安静第一」といわれ、リハビリは後回しにされる傾向でした。「(リハビリを)始めるのが遅れて、寝たきりを多くつくってしまった」ともいわれています。
最近は早期リハビリの重要性が認識され、発作の急性期を脱した、発作後2〜3日、遅くとも一週間以内には開始することが望ましいとされています。機能回復訓練の開始が遅れた場合、早期に始めた場合に比べ、回復の程度に差が生じ、リハビリ期間も長くなることが分かっています。
見直せ!!ライフスタイル
脳卒中のいちばんの大敵は“年をとる”こと。動脈硬化は加齢に伴い進行します。また、家族に病歴がある人や、男性のほうが女性に比べてリスクが高いということが分かっています。
年をとることや、性差などはしかたがありませんが、『生活習慣病』である成人病や、動脈硬化を急速に進める因子は、食事や運動など日常の注意で防げます。
食事は、バランスよく摂ることが基本です。摂りすぎると高血圧になる塩分は控えめにし、血管を丈夫に保ち、脂肪の代謝をよくするタンパク質(大豆など)や、血中コレステロールを下げる食物繊維(野菜や海藻類)、降圧作用のあるカリウム(野菜や果物)などを積極的に摂ることを心掛けたいものです。
適度な運動も大切です。ウォーキングやサイクリングなどの有酸素運動(エアロビクス)が最適です。
過労は血圧を上昇させる要因ですので、十分な睡眠をとり、ストレスをためないことも心掛けましょう。
“気温”も避けられないリスクの一つです。動脈硬化が進行している人は、季節に応じた予防の工夫が必要です。
脳出血は冬場に多い病気です。冬は寒気にさらされて、血圧が高くなっています。暖かい室内から、いきなり寒い戸外へ出ると、脳の血管が収縮し血圧が上昇します。冬場の浴室やトイレと居室との温度差はとくに要注意です。北海道の冬場の脳卒中死亡者が少ないのは、家の隅々まで暖房設備が完備されているからだといわれています。
また、夏場は脳梗塞を起こしやすい季節でもあります。汗をかいて水分が失われるため、血液が濃くなって粘度が高くなり、血栓ができやすい状態となるからです。水分はこまめに補給し、クーラーの温度設定も外気と大きな差がないようにしたいものです。
性格や行動も病気と大きく関係しているようです。医学的な分類で「タイプA」と呼ばれる性格、行動パターンをもつ人が、脳卒中になりやすいという研究報告があります。特徴としては、攻撃的で積極的な“猛烈社員型”の人。このタイプは、競争心が強く、たえず時間に追われ、何事も完璧を求める傾向があります。ストレスや疲労が溜まりやすく、高血圧や動脈硬化を招きやすいのです。
働き盛りの壮年期を突然襲う「くも膜下出血」も過剰なストレスが原因の一つです。「タイプA」に近い人は、ストレスを溜がちな生活パターンを見直すことが大切です。
ちなみに、「タイプC」と分類される“忍耐強く、協調性がある性格の人”は、《ガン》になりやすいという研究もあります。
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